洗脳をした喫茶店のイケメン店員が実は警察官だったことを知ってしまった話
その言葉を聞いた俺は箒を地面に放り出しこの場から逃げようと踵を返したが現役の警察官から逃げれる訳がなく手首をがっしりと掴まれるとそのまま腕を捻られて拘束された。ギリギリと捻られた腕に痛みを感じで情けなく悲鳴を上げると安室…降谷さんに宿の扉を開けるように言われ仕方がなく、宿の鍵が上着のポケットに入っていることを伝えると降谷さんは鍵を抜き取って施錠されていた宿の扉を開けた。ガラガラと引き戸が開かれると降谷さんに腕を捻られたまま俺は宿の中に連れていかれた。
「口コミの通りいい宿じゃないか」
『痛い痛い!!本当に痛いんですって!!手離してください!!』
「手を離したら君、逃げるだろ」
『に、…げません』
「はぁ…。逃げたら本当に手錠を掛けるからな」
そう言って降谷さんはふぅと小さく息を吐くと捻りあげていた手を離した同時に俺の背中を強く押してきた。開放された途端に襲ってきた重い衝撃に一般人が耐えられる訳もなく、俺はそのまま畳の上に顔から倒れ込む。ズザァと肌が畳に擦れて痛みを感じていると今度は腰あたりに重みを感じると髪の毛ごと頭をがっしり掴まれて畳に押し付けられる。
『…痛っ』
「さて、僕から逃げたということは何か悪いことをしたと自覚しているからだと思うんだが、君は僕に何をしたんだ」
『っ…何も、してないです』
「ほぉー?何もしていないなら何故僕の前から逃げ出した?心当たりがあるからだろ。何が目的だ?」
『…、』
まるでテレビドラマのように尋問だ。声はいつもの安室さんと同じはずなのに話し方や声のトーンが違うだけでこんなにも別人に思えるのだろうか。まるで俳優のようだ。なんて事を考えている間も俺の頭は強く上から押さえつけられていてゴリッと畳に擦れてジンジンと頬に痛みが伴う。怖い、自業自得とはいえこんな事をされるなんて思ってもみなかった。そのうち指を折られたりしないだろうか。こんな怖いことされるなら洗脳なんてやるんじゃなかった。好きな人をただ遠くから、見ているだけで良かったんだ。
『っ…ふぅ、ごめんな、さい…っ、俺、こんなことに、なるなんて思ってなくて…、出来心でアプリを使っただけなんです』
「それで安室が偽名だと知ったのか?」
『っ、へ?え、いや違…。降谷さんが警察官だって知ったのは、あの日警察手帳を見つけたからで…』
「…なら、そのアプリで何をしたんだ」
『それは……そんなこと、降谷さんが1番わかってるはずじゃないですか』
「生憎、全く身に覚えがないんだが?」
『だ、だってあのアプリを入れたのは降谷さんなんでしょ…、洗脳出来たって思わせて、油断したところで何か情報引き出すつもりだったんでしょ!?でも、俺、アプリ以外に悪い事をしたつもりは、本当にないんです!』
最後の方はもうヤケになって叫んでいた。情けなく目から流れる涙を拭うことも出来ず、鼻をすすっていると頭に感じていた圧力が無くなる。恐る恐る視線を上に向けると自分の上にどしりと座り込んだ降谷が探るような視線のまま顎に手を当てて何かを考えているようだった。何を考えているかなんてわかる訳もなく視線をまた畳の方に戻し、やっぱり強制性交等罪で逮捕されるのかな。でも、誘ってきたのは降谷さんの方でアプリも偽造されたものだったなら言い逃れは…出来ないのかな…。そもそもそんなこと書いてたことが問題だろうし…。
「君が言っているアプリというのが分からないのだが、どのアプリのことだ」

